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2023.09.29

「開業・美容・スポーツ」の選択授業と

こんにちは。鍼灸学科の立川です。

最近は少しずつ涼しくなってきましたね。
ICMでは“選択授業”という授業があります(昼間部2年時)。学生自身が自身の目標に向かって「開業・美容・スポーツ」の3コースから選択します。今年は8人の講師・トレーナーの方々(立川含む←)をお招きしての実習、現場での見学をさせていただきました。
一部を紹介します!

村越先生(新潟医療福祉大学)からは、主にスポーツ現場における鍼灸治療の安全性について。

平松先生からは、eSports領域における鍼灸治療や、その世界で生きていくためには?という将来の話。

市川先生からは、社会人野球チームでの経験を生かしたコンディションチェックについての実技。

楢原先生(アルビレックス新潟)からは、現場で仕事をする上でのマインドや、業務内容やそれに関わる職種等について。

いずれの先生の話も、本当貴重なものでした。こういった世界の話は、お願いしたから聞ける訳では無いし、講義料を払ったから聞けるというようなものでもありません。本当にプライスレスなものなんですよね。
皆さんの将来に役立つヒントがあったら嬉しいです!!

<今日の論文紹介>


「Acupuncture decreases competitive anxiety prior to a competition in young athletes: a randomized controlled trial pilot study」
PMID: 28199216、DOI: 10.1515/jcim-2015-0085
訳:鍼は若年アスリートの競技前の不安を減少させるという論文の紹介です。
※この論文の後発論文も出ているようなのですが、ダウンロードできなかったのでこちらを紹介。

この研究は、タイトルの通り「競技時の不安」に対する鍼の影響について、不安に関する指標(CSAI-2: Competitive State Anxiety Inventory-2)、皮膚コンダクタンス、心拍数を指標に用いて評価しています。身体的な機能(筋力とか、疲労度とか)に関する研究は多いけど、競技前の不安感に対する鍼って珍しいですよね!!
※ちなみにCSAI-2は、競技前の不安を評価する尺度で、認知的不安・身体的不安・自身への自信といった下位尺度から構成されます。

対象は、サッカー選手30名(平均年齢:17.1歳)で、鍼群と偽鍼群にランダムに選手を割り付け、試合の4時間前に、鍼群では、relaxation pointと呼ばれる部位と神門(https://www.icm-net.jp/12113/ 参照)に30分の置鍼、偽鍼群では、鍼群と同じ場所に偽鍼を30分留置した前後での変化を評価しています。

その結果、認知的不安・身体的不安・皮膚コンダクタンスは、鍼群において試合後に有意に減少したのに対し、偽鍼群では試合前後での有意な変化はなく、鍼は若いアスリートの試合前の認知的、身体的不安を減少させる可能性が示されました。

これまでのスポーツ分野における鍼灸治療介入の効果は、やはり身体的な機能に関するものが多かった中で、心理的な側面に対する影響を評価するというのは非常に面白い観点ですよね。緊張感はある程度必要なものですが、過度な緊張状態にあるとパフォーマンスは低下してしまいます。この辺を解消していく方法として鍼が関わることができる可能性が出てきたことで、鍼灸師の仕事が増やしていけると良いなぁと思っています。
※ただ、研究上の課題は色々とあります。しかし、非常に面白い研究だと思いますし、アスリートと関わる鍼灸師の方、これから関わっていきたいと考えている方にとって有益な情報になったら嬉しいです!!

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