医療行為を適切に行うためには、患者さんの情報を多く収集する必要があります。
こうした情報をデータ化し、収集・管理するのが診療情報管理士です。
近年、医療のニーズが高まっていることに伴い、診療情報管理士を目指す方も増えています。
ここでは、診療情報管理士になるための資格や試験内容、出題傾向、勉強方法などを解説します。
診療情報管理士とは
・診療情報管理士の仕事内容
・診療情報管理士のやりがい・魅力
└医療の発展に貢献できる
└自分の成長を実感できる
└安定している
診療情報管理士になるには
・診療情報管理士として働くまでの流れ
・診療情報管理士になるための資格
診療情報管理士認定試験について
・受験資格
・試験概要
・試験科目と出題傾向
・難易度
診療情報管理士認定試験の勉強方法
・基礎知識の習得
・テキストの活用
・模擬試験の活用
・スケジュール管理
・オンラインコンテンツの活用
診療情報管理士に向いている人の特徴は5つ
・細かい作業が得意
・計画性を持って業務を遂行できる
・情報リテラシーが高い
・コミュニケーション能力が高い
・責任感が強い
診療情報管理士の需要・将来性
・需要
・将来性
まとめ
診療情報管理士とは、医療機関において患者の診療情報を収集・管理する専門職です。
診療記録やカルテの管理、データの分析、医療情報の提供などを通じて、
医療の質向上や病院経営の効率化に貢献します。
診療情報管理士は、医療の現場を支える重要な役割を担っており、医療機関の運営に欠かせない存在です。
診療情報管理士の主な仕事内容は、以下のとおりです。
・カルテの管理:患者の診療記録を整理・保管し、必要に応じて医師や看護師に提供
・データの分析:診療情報をデータベース化し、統計や分析を行い、医療の質向上や経営改善に役立てる
・情報提供:医療スタッフや国・県などに対して、必要な医療情報を提供
・コーディング:診療情報を国際統計分類に基づいてコード化し、統一された形式で管理
これらの業務を通じて、診療情報管理士は医療機関の運営を支え、患者に対する適切な治療の提供をサポートする
診療情報管理士は非常にやりがいのある仕事です。
ここでは、診療情報管理士のやりがいや魅力をご紹介します。
医療の発展に貢献できる
診療情報管理士はデータの分析を通じて病院の経営を支えるだけでなく、日本の医療の発展に直接貢献できることが大きな魅力です。
直接、患者さんと接する機会は少ないですが、自分の行ったデータ分析によって、治療が良い方向に進むことでやりがいを感じられます。
自分の成長を実感できる
医療は日々進化するため、診療情報管理士は勉強が不可欠です。
事務職でありながら医学の知識を求められるため、覚えることが多いです。
しかし、勉強や経験によって得た知識やスキルを発揮することで、自分の成長を実感できます。
安定している
診療情報管理士の仕事は、安定していることも魅力の1つです。
勤務時間が規則的であり、自分の裁量で業務を進められます。
福利厚生や労働環境が整った大きな病院が就職先となることが一般的です。
また、就職先によっては公務員としても働けます。
診療情報管理士になるには、具体的にはどうすればよいのでしょうか。
ここでは、診療情報管理士として働くための流れと必要な資格を確認しておきましょう。
診療情報管理士として働くためには、以下のステップを踏む必要があります。
・基礎知識の習得:医療事務に関する基礎知識を学ぶ
・指定の教育機関で学ぶ:厚生労働大臣指定の養成施設や指定の大学・短期大学、専門学校で所定の単位を取得
・認定試験に合格:日本病院会が実施する診療情報管理士認定試験に合格
・就職活動:医療機関で診療情報管理士としてのポストに応募し、採用される
診療情報管理士になるには、日本病院会が指定する大学や専門学校で所定の単位を取得し、卒業しなくてはなりません。
また、日本病院会が実施する通信教育を修了することによって、受験資格を得ることも可能です。
その後、診療情報管理士認定試験に合格することで、資格を取得できます。
ここからは、診療情報管理士試験の受験資格と試験概要、試験科目・出題傾向、合格点・難易度をご紹介します。
診療情報管理士認定試験を受験するためには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
受験資格 (1)一般社団法人日本病院会診療情報管理士通信教育を修了した者 (2)一般社団法人日本病院会指定大学および指定専門学校の指定された学科で指定単位を修得 し、卒業した者(2025年3月末日までに卒業が見込まれる者、3年生以上で2026年3 月末日までに卒業が見込まれる者を含む) 注:一般社団法人日本病院会指定大学および指定専門学校の指定基準と指定単位は別途定める。 |
出典:一般社団法人日本病院会/第18回『診療情報管理士』認定試験実施要項
また、以下の条件を満たす場合、基礎分野の試験が免除されます。
基礎分野の試験免除 医師、歯科医師、看護師(保健師、助産師)、薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、言語聴覚士、歯科衛生士、歯科技工士、臨床工学技士、義肢装具士、救急救命士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師のいずれかの日本国の免許を有する者は、その申請により基礎分野の試験を免除する。 |
出典:一般社団法人日本病院会/第18回『診療情報管理士』認定試験実施要項
具体的な受験資格の取得方法は、以下のとおりです。
・大学・短大・専門学校を卒業し、その後2年制の通信教育を修了する
・日本病院会認定の大学・専門学校で指定単位を修得し、卒業する
診療情報管理士認定試験は、一般社団法人日本病院会が運用する試験です。
試験日時は例年2月に実施されることが多く、2025年は、2月9日(日) 13時00分~16時10分に実施予定です。
試験地は、全国15地区16会場、受験料は10,000円(税込)で、合否発表は受験後メールにて通知されます。
試験内容は基礎分野と専門分野に分かれており、試験時間は1時間です。
参考:一般社団法人日本病院会/第18回『診療情報管理士』認定試験実施要項
診療情報管理士試験の試験科目と出題傾向は、以下のとおりです。
基礎分野 | 試験科目 | 出題傾向 |
医学史 | 医学の歴史や制度、医学を発展させた人物に関する問題が出題される。 例:国民皆保険、杉田玄白、キュリー夫人など。 | |
人体構造 | 体の部位や臓器の名前に関する問題が出題される。 例:大脳、小脳、胃、噴門、橈骨、尺骨など。 | |
人体機能 | 細胞や臓器の働きや役割に関する問題が出題される。 例:白血球の機能、胃の消化機能など。 | |
臨床医学 | 実際の医療の知識や診療科ごとの病気に関する問題が出題される。 例:胃腸炎の原因、肺炎の症状や治療法など。 | |
専門分野 | 医療制度・関連法と法令 | 医療制度や関連する法律、法令に関する問題が出題される。 |
病院管理・経営とシステム | 病院の組織や経営、システムに関する問題が出題される。 | |
統計学 | 医療データの統計解析や統計手法に関する問題が出題される。 | |
診療情報管理 | 診療情報の管理方法や病名の分類に関する問題が出題される。 | |
国際統計分類 | ICD-10やICD-11に関するコーディング問題が出題される。 例: 原死因選択、コーディングルール、サマリー問題など。 |
診療情報管理士認定試験の難易度は比較的高く、専門的な知識が求められます。
合格率は50%前後で、年によって変動しますが、近年の合格率は52.4%から66.7%の範囲で、2024年の合格率は72.8%です。
十分な準備と勉強が必要だといえます。
診療情報管理士試験に合格するためには、効率よく勉強を進めることが重要です。
ここでは、診療情報管理士試験の勉強方法をご紹介します。
基礎知識の習得
診療情報管理士認定試験に合格するためには、まず解剖学や生理学などの基礎知識をしっかりと身につけることが重要です。
基礎知識は、試験の多くの部分で求められます。
例えば、人体の各部位やその機能、主要な臓器の働きなどを理解しておかなくてはなりません。
また、病気のメカニズムや治療法についても基本的な理解が必要です。
基礎知識がしっかりしていることで、応用問題にも対応しやすくなるでしょう。
テキストの活用
診療情報管理士認定試験の公式テキストを通読し、重要なポイントにアンダーラインを引くなどして、理解を深めることも大切です。
特に、病名や症状、治療法などのキーワードを覚えることが欠かせません。
テキストを読むだけでなく、ノートにまとめたり、図表を使って視覚的に整理したりすることも効果的です。
また、テキストに記載されている事例やケーススタディを活用して、実際の現場での応用力を養うことも有効でしょう。
模擬試験の活用
模擬試験を繰り返し解くことで、試験形式に慣れ、時間配分の感覚を掴みやすくなります。
間違えた問題は徹底的に復習し、理解を深めることが重要です。
模擬試験は、実際の試験と同じ形式で行うことで、試験当日の緊張感を和らげる効果も期待できます。
さらに模擬試験の結果を分析し、自分の弱点を把握して重点的に勉強することが効果的です。
スケジュール管理
平日は短時間でも毎日勉強を続け、休日には集中的に学習すると効率的です。
計画的に勉強時間を確保し、無理のないペースで進めることが大切だといえます。
例えば、1日の勉強時間を決めて、その時間内で効率的に学習する方法を見つけることが重要です。
また、定期的に休憩を取り入れることで、集中力を維持しやすくなります。
長期的なスケジュールを立てる際には、試験日から逆算して計画を立てるとよいでしょう。
オンラインコンテンツの活用
YouTubeなどの動画を活用して、視覚的に理解を深めることもおすすめです。
特に解剖学や生理学の動画は、理解を助ける良いツールだといえるでしょう。
動画を視聴することで、テキストだけでは理解しにくい部分も分かりやすくなります。
また、オンラインフォーラムやSNSを活用して、同じ目標を持つ仲間と情報交換をすることも有効です。
最新の情報や勉強法を共有できるだけでなく、共に切磋琢磨することでモチベーション維持にもつながります。
診療情報管理士に向いている人の特徴は、以下のとおりです。
・細かい作業が得意
・計画性を持って業務を遂行できる
・情報リテラシーが高い
・コミュニケーション能力が高い
・責任感が強い
ここからは、それぞれの内容を解説します。
1.細かい作業が得意
診療情報管理士に向いている人の特徴の1つは、細かい作業を丁寧に進められることです。
診療情報管理士は、膨大なデータを正確に管理しなくてはなりません。
例えば、患者さんの診療記録や検査結果など、多岐にわたる情報を整理し、正確に入力する作業が求められます。
2.計画性を持って業務を遂行できる
診療情報管理士には、業務全体を見渡し、計画的に進める能力も求められます。
例えば、データの収集や整理、分析のスケジュールを立て、効率的に業務を進めることが重要です。
計画性がある人は、突発的な業務にも柔軟に対応しやすいでしょう。
3.情報リテラシーが高い
診療情報管理士には、個人情報や機密情報を適切に扱うためのリテラシーも必要です。
電子カルテシステムの操作や、データのセキュリティ管理など、情報技術に関する知識が求められます。
情報リテラシーが高いことで、データの漏洩や誤用を抑制することが可能です。
4.コミュニケーション能力が高い
診療情報管理士はチーム医療の一員として、医師や看護師などとの連携が必要な場面も多いため、
適切なコミュニケーションを取れることが大切です。
情報のやりとりがスムーズに行えることにより、診療の質の向上につながるため、
ほかの医療スタッフとの円滑なコミュニケーションが求められます。
5.責任感が強い
データの正確性が医療行為や病院の経営に直結するため、責任感の強い人が向いています。
取扱う情報は患者さんの個人情報であるため、適切かつ慎重に扱うことが重要です。
また、データの正確性が医療行為や病院の経営に直結するため、責任感の強い人が向いています。
診療情報管理士を目指す人にとっては、市場ニーズや将来性が気になるところでしょう。
ここでは、診療情報管理士の需要と将来性について解説します。
診療情報管理士の需要は、医療技術の進歩や電子カルテの普及に伴い、年々増加傾向です。
診療情報の適切な管理は、医療の質向上や病院経営の効率化に直結するため、
多くの医療機関で診療情報管理士の役割が重要視されています。
特に電子カルテの導入が進む中で、データの正確な入力や管理、情報の保護が求められており、
これらの業務を専門的に行う診療情報管理士の存在が不可欠です。
また医療機関だけでなく、保険会社や製薬会社などでも診療情報管理士の需要が高まっています。
今後、診療情報管理士の需要がさらに高まると予想されます。主な理由は以下のとおりです。
1.高齢化社会
日本は急速に高齢化が進んでおり、高齢者の増加に伴い、医療ニーズが増加する見込みです。
診療情報の管理がますます重要になり、診療情報管理士の役割が拡大することが期待されます。
2.医療ミスにより訴えられるリスクの増加
近年、医療ミスなどが原因で、患者さんやその家族から病院や医療従事者が訴えられるケースが増えています。
その際、重要な証拠となるものがカルテです。そのため、カルテには正確な記載や管理をすることが欠かせません。
診療情報管理士は、医療記録の正確性と信頼性を確保するために重要な役割を果たすことが予想されます。
3.DPC制度の普及
包括医療費支払い制度(DPC)の導入により、診療情報の適切な管理が求められています。
DPC制度は、診療内容と費用を包括的に管理するものであり、診療情報管理士の専門知識が必要です。
診療情報管理士は、患者の診療記録を整理・管理し、データ分析や情報提供を行う専門職で、医療の質向上や病院経営に貢献します。
資格取得には、日本病院会の認定試験合格が必要で、試験内容は基礎分野と専門分野に分かれ、医療知識が問われます。
勉強方法として基礎知識の習得、模擬試験の活用、スケジュール管理が重要です。
需要は高まりつつあり、今後も高齢化や医療制度の進展と共に診療情報管理士の役割が拡大する見込みです。
ICM(国際メディカル専門学校)は、診療情報管理士を目指す人におすすめです。
最新の医療情報技術を学び、実践的なスキルを身につけられます。
特に、豊富な実習機会と専門的なカリキュラムが特徴で、医療現場で即戦力となる人材を育成するのが強みです。
ICMは新潟県内の診療情報管理士輩出数No1で、検定合格率、就職率ともに100%という確かな実績があります。
また、ICMは新潟県内外の多くの病院と提携しており、実践的な経験を積めます。
さらに、卒業生の多くが医療業界で活躍しており、強力なネットワークがあるのも魅力です。
詳しくは以下をご覧ください。
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